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Oracle Application Expressは、データベース集中型のWebアプリケーションを開発およびデプロイするための、ホスティングされた宣言的な開発環境です。ユーザー・インタフェースのテーマ、ナビゲーション・コントロール、フォーム・ハンドラ、柔軟性が高いレポートなどの組込み機能を使用して、アプリケーション開発プロセスを短縮できます。
Application Expressエンジンは、データベース表に格納されたデータから、リアルタイムでアプリケーションをレンダリングします。アプリケーションを作成または拡張すると、Oracle Application Expressはメタデータを作成するか、またはデータベース表に格納されたメタデータを変更します。アプリケーションの実行時に、Application Expressエンジンは、メタデータを読み込み、アプリケーションを表示します。
アプリケーションでのステートフルな動作を提供するため、Oracle Application Expressはデータベースのセッション・ステートを透過的に管理します。アプリケーション開発者は、標準的なSQLバインド変数構文および単純な置換処理によって、セッション・ステートを取得および設定できます。
次のセクションで、Oracle Application Expressの主な機能を説明します。
レポート作成
Oracle Application Expressを使用して、SQL問合せの結果を表示するHTMLレポートを迅速に生成できます。また、HTML、Adobe Portable Document Format(PDF)、Microsoft Word Rich Text Format(RTF)、Microsoft Excel(XLS)形式またはXMLでレポートをダウンロードおよび出力できます。
複数のレポートを宣言的にリンクさせてドリルダウン・レポートを作成したり、バインド変数を使用してセッション・ステートからレポートに情報を渡すことも可能です。レポートでは、宣言的な列ヘッダーのソート、コントロール・ブレーク、合計、ページ区切りなどがサポートされます。レポートのソートおよびページ区切りには、部分ページ・リフレッシュ(PPR)のテクノロジを使用できるため、ページ全体をリフレッシュせずに済みます。宣言的なリンクをレポートに追加して、レポート・データをCSVまたはXML形式にダウンロードできます。さらに、テンプレートを使用して、レポートの表示形式をカスタマイズできます。「バインド変数構文について」および「レポートの作成」を参照してください。
対話モード・レポート・リージョンでは、エンド・ユーザーがレポートをカスタマイズできます。ユーザーは、関連する列を選択し、フィルタを適用し、ハイライトしてソートすることで、レポート・データのレイアウトを変更できます。また、ブレーク、集計、別のチャートおよび計算を定義することもできます。ユーザーは、レポートの複数のバリエーションを作成したり、名前付きのレポートとして保存したり、カンマ区切りファイルに出力したり、PDFドキュメントに出力したりできます。「対話モード・レポートの編集」を参照してください。
フォーム
ウィザードを使用して、表または格納されたプロシージャについてのフォームを簡単に作成できます。たとえば、表に関するフォームを作成する場合、これらのウィザードでは挿入、更新、削除の自動管理に加え、失われた更新の検出も可能です。フォームを作成した後も、必要なレイアウトを即座に実現できるビジュアル表示を使用して、フォーム・フィールド(フォーム・アイテムと呼ばれる)を再調整できます。フォーム・アイテムとして、テキスト・フィールド、テキスト領域、ラジオ・グループ、選択リスト、チェック・ボックス、日付ピッカーおよびポップアップの値リストなどを含む、各種表示オプションが提供されます。詳細は、「フォームの作成」を参照してください。
チャート作成
ウィザードを使用して、HTML、SVGまたはFlash形式のチャートを作成できます。あるチャートから別のチャートまたはレポートにドリルダウンするチャートを作成することも可能です。また、部分ページ・リフレッシュ(PPR)テクノロジを使用してリフレッシュできるため、ページ全体をリフレッシュせずに済みます。指定の間隔でチャートがリフレッシュされるように構成することもできます。さらに、レポート列テンプレートを使用して、単純なHTMLの棒グラフを任意のレポートに追加することも可能です。「チャートの作成」を参照してください。
スプレッドシートのアップロード
スプレッドシートからアプリケーションの作成ウィザードを使用して、スプレッドシート・データをデータベースに迅速にアップロードできます。データを新規データベース表に格納するか、あるいは既存のデータベース表に追加するかを選択できます。データがアップロードされると、簡単にアプリケーションを作成できます。このウィザードでは、数回のクリックでスプレッドシートから共有アプリケーションを作成できます。詳細は、「スプレッドシート・ウィザードからのアプリケーションの作成について」を参照してください。
セッション・ステート管理
Oracle Application Expressは、データベースのセッション・ステート(またはアプリケーション・コンテキスト)を透過的に管理します。フォームでは、セッション・ステートが自動的に保存され、現行セッションのアプリケーション・コンテキストが記憶されます。SQLおよびPL/SQLでのセッション・ステートの参照は、バインド変数の使用と同様に簡単です。次のSELECT文を例にとります。
SELECT * FROM EMP WHERE EMPNO = :P1_ID
この例では、問合せの実行時にアイテムP1_ID
の値が自動的にバインドされます。また、アイテム名をアンパサンド(&
)で始めて、ピリオド(.
)で終わると、静的コンテキストのセッション・ステートを参照できます。
&P1_NAME.
2つのディメンション・データ・セットの管理に対して、Oracle Application Expressは強力な収集インフラストラクチャを提供します。とりわけ、セッション管理はステートレスであり、メモリーを消費しません。詳細は、「セッション・ステート値の管理」および「バインド変数構文について」を参照してください。
ユーザー・インタフェースのテーマ
Oracle Application Expressは、アプリケーション・ロジックから表示(つまりユーザー・インタフェースのテーマ)を分離します。あるテーマでアプリケーションを設計してから別のテーマに変更したり、独自のカスタム・テーマを作成して使用することも可能です。(問合せ、プロセス、ブランチなどの)アプリケーション・ロジックをHTMLレンダリングから分離することで、アプリケーションをリライトせずに、新しい設計および他のテクノロジを使用できます。詳細は、「テーマの管理」を参照してください。
フロー制御およびナビゲーション
すべてのWebアプリケーションにはナビゲーションが必要であり、動的アプリケーションにはフロー制御が必要です。Oracle Application Expressは、ナビゲーション・コントロールの開発および管理を単純化するための組込みコンポーネントを提供します。ナビゲーションは、宣言的なタブ(1つまたは2つのレベル)、ブレッドクラム、ツリー・コントロール、リンクのリストなどを使用して制御されます。フロー制御は、指定のイベントや特定の条件で有効になる宣言的なブランチを使用して実行されます。ナビゲーション・コントロールの表示はテンプレートで管理されており、簡単に表示形式を変更できます。詳細は、「ナビゲーションの追加」および「ブランチを使用したナビゲーションの制御」を参照してください。
すべてのコンポーネントの条件付け
動的Webアプリケーションを作成する場合、多数のアプリケーション・コンポーネントおよびプロセスに条件が設定されます。つまり、アプリケーション・コンテキスト、データ、イベントまたは権限に基づいた様々な情報が表示または処理されるのみです。Oracle Application Expressを使用すれば、すべてのコンポーネントの条件を宣言的に指定できます。これにより、タブ、ボタン、アイテム、リスト・エントリなどの表示を正確に管理できます。詳細は、「条件付きのレンダリングおよびプロセス」を参照してください。
外部インタフェースおよび拡張性
Oracle Application Expressは、アプリケーション構築のための強力な宣言的開発環境を提供していますが、カスタム・インタフェースまたはコントロールを開発することも可能です。たとえば、コンポーネントが現行環境のニーズにあわない場合、PL/SQLを使用して独自のカスタムHTMLを生成できます。(「カスタムPL/SQLを使用したHTMLのレンダリング」を参照。)また、Webサービスを使用して、外部サービスをコールすることもできます。(「Webサービスの実装」を参照。)Oracle Application Expressには、電子メール・アラートをアプリケーションに簡単に統合できるAPIも含まれています。(「アプリケーションからの電子メールの送信」を参照。)さらに、Oracle Application ExpressはOracle Database上で実行されるため、外部表、PL/SQL、データベース・リンク、ゲートウェイ、データベースJavaなどのデータベース固有の機能を使用して、アプリケーションの機能を拡張できます。
セキュリティ
Oracle Application Expressを使用すれば、ユーザー・ログインの不要なパブリック・アプリケーションや、認証が必要なセキュア・アプリケーションの作成が可能です。Oracle Application Expressは、シングル・サインオン、データベース・アカウント資格証明、簡単に使用できるユーザー管理システムなどの様々な組込み認証スキームを提供します。Microsoft Active DirectoryおよびOracle Applicationsを含む、任意の認証サービスに関するカスタム・スキームも使用できます。
さらに、使用環境のニーズに応じて認可をカスタマイズし、アプリケーション全体、またはページ、ページ・コンポーネントに対して個別に認可を適用できます。また、URLの不正な変更を防止するためのセッション・ステートの革新的な保護機能や、SQLインジェクションおよびクロスサイト・スクリプティング(XSS)攻撃からアプリケーションを保護するための組込み機能も使用できます。詳細は、「アプリケーション・セキュリティの管理」を参照してください。
SQLワークショップのツール
SQLワークショップの提供するツールにより、Webブラウザからデータベース・オブジェクトを表示および管理できます。SQL文およびPL/SQL文を実行するには、SQLコマンドを使用します。詳細は、Oracle Application Express SQLワークショップおよびユーティリティ・ガイドの「SQLコマンドの使用」を参照してください。
クエリー・ビルダーでは、表のドラッグ・アンド・ドロップにより問合せを定義したり、オブジェクト間の関係を簡単に作成することが可能です。詳細は、Oracle Application Express SQLワークショップおよびユーティリティ・ガイドの「クエリー・ビルダーを使用した問合せの構築」を参照してください。
オブジェクト・ブラウザでは、データベース・オブジェクトの表示、作成、変更、参照および削除を簡単に実行できるGUIが提供されます。詳細は、Oracle Application Express SQLワークショップおよびユーティリティ・ガイドの「オブジェクト・ブラウザを使用したデータベース・オブジェクトの管理」を参照してください。
また、SQLスクリプトを使用して、スクリプト・ファイルの作成、編集、表示、実行および削除が可能です。詳細は、Oracle Application Express SQLワークショップおよびユーティリティ・ガイドの「SQLスクリプトの使用」を参照してください。
「サポートするオブジェクト」ユーティリティ
パッケージ・アプリケーションを作成すると、別のOracle Application Expressインスタンスのエクスポート、インストール、アップグレードおよび削除に必要なステップを単純化できます。「サポートするオブジェクト」ユーティリティを使用すると、アプリケーション定義を、データベース・オブジェクト、シード・データ、イメージ、カスケード・スタイルシートおよびJavaScriptを作成するスクリプトにバンドルできます。
パッケージ・アプリケーションを作成すると、インストールに類似した操作がアプリケーション・ユーザーに提供され、別の開発、テストまたは本番インスタンスへのアプリケーションのインポートおよびインストールのプロセスが自動的に実行されます。「パッケージ・アプリケーションの作成方法」を参照してください。
パフォーマンス
Oracle Application Expressは、アプリケーション開発者およびアプリケーション・ユーザーにきわめて高いレベルのパフォーマンスを提供します。Oracle Application ExpressはOracle Database上で実行されるため、ネットワーク通信量に与える影響が最小限で済みます。さらに、アプリケーション・ビルダーには多数の監視レポートが含まれており、アプリケーション・パフォーマンスの識別およびチューニングが可能です。詳細は、「アプリケーションのデバッグ」を参照してください。
ホスティング環境
Oracle Application Expressによって、単一のデータベースで多数のユーザーをホスティングできます。ユーザーは、作業領域と呼ばれる専用の作業領域で作業します。作業領域は、オブジェクト、データ、およびアプリケーションをプライベートに保持しながら、同一のOracle Application Expressのインストール内で複数のユーザーが作業可能な仮想プライベート・データベースです。この柔軟なアーキテクチャによって、単一のデータベース・インスタンスで何千ものアプリケーションを管理できます。
作業領域を割り当てる(または作成する)プロセスの動作を決定します。たとえば、電子メールの検証割当てモードでは、ログイン・ページのリンクを使用してユーザーが作業領域をリクエストします。作業領域のリクエストが承認されると、電子メール・アドレスが正しいことを検証するためのリンクを電子メールで受信します。このリンクをクリックすると、ログイン資格証明を電子メールで受信します。電子メールの検証割当てモードの例を参照するには、次のリンクに移動します。
http://apex.oracle.com
詳細は、「Oracle Application Express環境の構成」およびOracle Application Express管理ガイドの「Oracle Application Expressのホスティングされたインスタンス管理」を参照してください。